『ドラゴンボール』(DRAGON BALL)は、鳥山明(BIRD STUDIO)による日本の漫画作品。略称は「DB」。世界中に散らばった7つ全てを集めると、どんな願いでも1つだけ叶えられるという秘宝ドラゴンボールと、主人公孫悟空(そんごくう)を中心に展開する「夢」「友情」「バトル」などを描いた長編冒険漫画である。
『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1984年51号から1995年25号までの約10年半にわたって連載。各話数の通し番号は「其之○○」となっており、数字は漢数字で表される。この他に番外編『TRUNKS THE STORY -たったひとりの戦士-』(トランクス・ザ・ストーリー -)も掲載された。
テレビアニメ化も行われ、日本ではフジテレビ系列で放映されたほか、劇場版アニメやハリウッドでの実写映画も製作された。連載終了後にも多数の関連グッズやゲームソフトなどが生み出されている。
『ドラゴンボール』などの連載により、週刊少年ジャンプは1995年に販売部数653万部を記録。本作の連載終了後は同誌の部数が急速に減少していくなど[1]、影響も大きかった。単行本は全世界で発行部数3億5000万部以上のヒット作となる[2]。
中国の伝奇小説『西遊記』をモチーフにしており、主人公の名前も同作品の主要登場人物、神仙・孫悟空から名づけられている。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
ストーリー
「ドラゴンボールの登場人物」および「ドラゴンボールの世界における年表」も参照
少年期
地球の人里離れた山奥に住む尻尾の生えた少年・孫悟空はある日、西の都からやって来た少女ブルマと出会う。そこで7つ集めると神龍(シェンロン)が現れどんな願いでも一つだけ叶えてくれるというドラゴンボールの存在、育ての親孫悟飯の形見として大切に持っていた球がその1つ「四星球」(スーシンチュウ)であることを知り、ブルマと共に残りのドラゴンボールを探す旅に出る。人さらいのウーロンや盗賊ヤムチャなどを巻き込んだボール探しの末、世界征服を企むピラフ一味にボールを奪われ神龍を呼び出されるが、ウーロンの下らない願いを叶えてもらうことで一味の野望を阻止する。
そして悟空は旅の途中に知り合った武術の達人・亀仙人の下で、後に親友となるクリリンと共に8か月間修行を積み、世界一の武術の達人を決める天下一武道会に出場し準優勝する。その後ドラゴンボールの悪用を企むレッドリボン軍との闘いなどを経てさらに強さを増していき、再びドラゴンボールを7つ揃え、殺し屋桃白白(タオパイパイ)に殺されたウパの父親ボラを蘇生させた。さらに3年後の天下一武道会では殺し屋を目指す天津飯(テンシンハン)と闘うが、あと一歩のところで敗れ、前回と同じ準優勝となる。
ピッコロ大魔王編
天下一武道会終了後、ピラフ一味によって復活したピッコロ大魔王によって、クリリンや亀仙人など悟空の仲間達や多くの武道家達が殺されてしまう。悟空は仇を討つため、道中出会ったヤジロベーや仙猫カリンの協力を得て隠された力を引き出し、大魔王に闘いを挑み勝利する。闘いの後、悟空は大魔王に殺された神龍や仲間達の復活のため天界へ向かい、ドラゴンボールを創った本人である神に会うが、神龍復活の条件として独り天界で修行することとなる。
その3年後、少年から青年へと成長した悟空は天下一武道会にて生き返った仲間達と再会し、さらにはかつて出会った牛魔王の娘・チチと結婚。そしてピッコロ大魔王が死の寸前に残した生まれ変わりの息子・マジュニアに勝利し、同時に天下一武道会初優勝を飾る。
サイヤ人編
マジュニアとの闘いから約5年後、平和な日々を過ごしていた悟空の元に、悟空の実兄ラディッツが宇宙より来襲し、悟空は自分が惑星ベジータの戦闘民族・サイヤ人であることを知らされる。さらわれた息子・孫悟飯を助けるため悟空はかつての宿敵ピッコロ(マジュニア)と手を組み、自らの命と引き換えにラディッツを撃破するが、約1年後にはさらに強力なサイヤ人達がドラゴンボールを求めて地球に来襲することを知る。悟空はドラゴンボールによって生き返るまでの間、あの世の界王のもとで修業する。そして仲間と共に地球にやって来たサイヤ人の王子ベジータ達と闘いこれを撤退させるが、多くの仲間を失う。しかもピッコロの死により彼と同一人物であった神も死亡、地球のドラゴンボールも消滅する。
フリーザ編
神や殺された仲間達を甦らせるため、大怪我で入院中の悟空に代わり、悟飯・クリリン・ブルマの3人が神とピッコロの故郷であるナメック星へ向かう。だが、そこには界王すら畏怖する宇宙の帝王フリーザが不老不死を求めて来襲し、ナメック星人を虐殺しながらドラゴンボールを略奪していた。悟飯達はベジータ、フリーザ一味とのドラゴンボールをめぐる三つ巴の攻防の末、後から到着した悟空とナメック星人達の協力を得てナメック星の神龍・ポルンガを呼び出し、ピッコロを蘇生させた。そして悟空はフリーザとの闘いにおいて、伝説の戦士・超(スーパー)サイヤ人へと覚醒し勝利する。
人造人間・セル編
ナメック星での闘いから約1年後、地球に帰還した悟空の前に、未来からやって来たベジータとブルマの息子であるトランクスが現れる。彼は3年後にレッドリボン軍の生き残りであるドクター・ゲロが造り上げた2体の人造人間が現れて絶望の未来をもたらすことを告げる。しかし事態はトランクスが知っている歴史とは大きく違うものとなり、彼さえ知らなかった人造人間達も現れ、さらにはドクター・ゲロのコンピュータが造り上げた究極生命体セルが出現。完全体となったセルは地球の命運を賭けた武道会「セルゲーム」を開催。悟空はこの闘いで命を落とすが、その意思を受け継いだ息子・悟飯がセルを倒す。
魔人ブウ編
セルゲームより7年後、高校生に成長した悟飯が天下一武道会に出場することを知り、自らも出場するために悟空は1日だけこの世に戻る。天下一武道会の最中、全宇宙の神である界王神の依頼により、邪悪な魔導師バビディによる魔人ブウの復活を阻止しようとするが失敗、魔人ブウは復活してしまう。悟空はこの世での滞在可能時間が迫ったためあの世に帰り、代わって悟空の死後に生まれた次男の孫悟天やトランクス、悟飯がパワーアップして魔人ブウに挑む。しかし善戦虚しく危機に陥った彼らを救うため、老界王神の命を譲り受けて甦った悟空はベジータと共に界王神星での決戦に臨み、地球・ナメック星・あの世の人々のエネルギーによって作り上げられた特大の元気玉によって魔人ブウを消滅させる。
それから10年後、悟空は魔人ブウの生まれ変わりである少年・ウーブとともに、見果てぬ強さを求めて修行に旅立っていった。
世界観
「ドラゴンボールの地理」も参照
本作の主な舞台は太陽系の惑星「地球」である。物語の冒頭で「むかしむかし」という書き出しがあるが、文明については、一瞬で物体を実体化させる「ホイポイカプセル」やドラゴンボールを探知する「ドラゴンレーダー」など、現実の地球よりも高度なメカが登場する。ただし今日の現実世界に見られる携帯電話やインターネットの類は、連載当時にはまだ普及していなかったこともあり、登場していない[3]。交通手段には自動車やバイクのほかエアカーや飛行機などがあり、前述のホイポイカプセルで持ち運んで使用される。鉄道は作中では登場しないが、ランチは「列車強盗」という台詞を述べている[4]。主な貨幣単位は世界共通の「ゼニー」。
年号には「エイジ」が用いられる。連載開始時(悟空とブルマとの出会い)がエイジ749、原作終了時(ウーブとの旅立ち)がエイジ784となる。ただし作中で「エイジ」が用いられているのは、人造人間編でのトランクスの台詞のみである。日付の表記方法は統一されておらず、ピッコロ大魔王の記念日は「5月9日」、人造人間19号・20号の出現日は「5月12日」と現実世界と同様の暦が用いられている一方、セルゲームの開催日は「Mの17日」と月名が英字になっている[5]。
宇宙には地球以外にも人型の知的生命体の住む惑星が多く存在している(ナメック星・ヤードラットなど)。これらの惑星には地球よりもさらに高度な文明を持つ星も存在する。宇宙では無数の星が集まり星雲を作り、星雲が無数に集まり銀河を形成しており、宇宙空間に無限と言えるほどに存在している銀河を統括するための行政単位として宇宙は東西南北4エリアの銀河に区分けされている[6]。地球はそのうちの「北銀河」に存在しており、宇宙全体は不思議な文様の刻まれた壁により密閉されている。
また、生前の人類が暮らす「この世」に対し、死後の世界「あの世」が存在し、宇宙人を含め死んだ者は原則として魂があの世へと移る。
用語
「ドラゴンボールの技一覧」および「ドラゴンボールの道具」も参照
気
体の中を流れるエネルギーの比喩。これを操作して飛行することや、凝縮、放出して気功波として放つことができる。初めて気の概念が登場したのはピッコロ大魔王編である。戦闘でかめはめ波などの気功波として放つ以外にも、体の一部分に込めることで、攻撃力や防御力を上げたり、気を具現化させて手や体を作ったりと、用法は様々である。気の弱っている者に別の者が気を送り、体力を回復させることも可能。